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「外国特許事務」とは?

①「国内特許事務」と「外国特許事務」


「外国特許事務」とは、どんな業務を行っているか、ご存知でしょうか?
「名もなき家事」という言葉がありますが、各種事務の仕事には「名もなき業務」が満載と言えるでしょう。
当然、外国特許事務にもそんな業務がたくさんあります。
このコラムでは、名のある業務から名もなき業務まで、「外国特許事務」がどんなことを行っているのか、当事務所の場合を例に、簡単にご紹介いたします。

弁理士は特許法にのっとり、お客様(出願人)に代わって知的財産権の法手続きを行いますが、その手続きをサポートするのが特許事務です。
特許事務は、庁手続きに必要な書類の準備・作成や、庁への提出、期限管理などを行います。「コレポン」とも称されるお客様(出願人)とのやり取りも事務の担当業務の一つです。
こうした「書類の準備・作成・庁提出」「コレポン」などが、主な「名のある業務」となります。

特許事務には大まかに、「国内特許事務」と「外国特許事務」とがあります。
日本特許出願のために日本のお客様と日本特許庁をつなぐのが、「国内特許事務」。
外国特許出願のために日本のお客様と海外の特許庁をつなぐのが、「外国特許事務」。
(外国のお客様と日本の特許庁をつなぐ業務もありますが、ここでは触れません。)

国内特許事務と外国特許事務とで大きく違うのは、
国内特許事務が日本特許庁に直接手続きをするのに対し、
外国特許事務は、海外の特許庁へ直接手続きするのではない、というところです。
海外の特許庁へは、その国の事務所(代理人)でないと手続きができません。ですから、海外の代理人(現地代理人)に、手続きを依頼します。(図1)

②英語でのコミュニケーションと期限管理調整


アジアでは日本語でやりとり可能な現地代理人もいますが、ほとんどは英語でのやり取りとなります。
海外各国での手続き情報(必要書類や庁期限など)や、お客様からのお問合せやご要望について、現地代理人に確認するのも外国特許事務の重要な役割です。
特にお客様からの依頼で現地代理人に問合せをする際は、お客様の求めていることが何なのかをよく理解し、それが現地代理人へ正確に伝わるようにしなければなりません。
お客様と現地代理人の両方を考えての、自然で円滑なコミュニケーション能力が必要となります。

出願言語も国によって異なります。日本語で準備した特許明細書を現地代理人が直接現地語に翻訳するケース、当所にて準備した英文翻訳を海外特許庁に提出するケース、英文翻訳からさらに他言語へと翻訳するケース…、それぞれで準備に必要な期間が変わってきますので、出願国に沿った期限管理をしていくことになります。(図2)

出願を急ぐけれども出願期限までに翻訳文を準備する時間がない…という場合でも、日本語明細書のまま一旦海外特許庁へ提出し、その後所定の期限内に翻訳文を提出する、ということが可能な国があります。その場合は出願及び翻訳の期限管理はまた変わってくるので、適宜調整していきます。

 

③サイン書類の作成


特許出願のために必要な書類として、弁理士は特許明細書を作成しますが、そのほかの書類のほとんどは事務が準備・作成します。
外国特許事務がよく作成する書類としては、譲渡証書や委任状などのサイン書類があります。同じ国でも代理人によって書類の形式が違うこともありますし、国によって電子署名で良いところ、自筆でないといけないところ、電子書類のみで良いところ、原本を提出しないといけないところ…と様々です。
そして言語は現地の言葉ですから、必要に応じて翻訳文を準備し、またご署名いただく部分はどこなのか、ご署名者は発明者なのか会社の代表者なのか、どのような記載形式なのか、といったことを分かりやすくするためのサンプルも作成します。
更に、サイン書類に、公証や領事認証が必要な国もあります。そうなると、その認証手続きに必要な書類を更にそろえる必要も出てきます。
庁へ提出する公的な書類ですから、サイン書類の作成は、間違いのないよう、そして期限に間に合うよう、とても気を使う作業です。

④様々な現地代理人への対応


国ごとに異なる手続きに加えて、現地代理人ごとに「クセ」が異なります。
この現地代理人は返事が早い、ミスが少ない、書類のまとめ方が分かりやすい…
その逆ももちろんあります。
日本のお国柄としては「仕事が細かく丁寧で時間厳守」が当たり前のようになっていますが、海外では必ずしもそうとは限りません。
ですから外国特許事務は、それぞれのお国柄・現地代理人事務所柄に合わせて、柔軟に対応する必要があるのです。
日本のお客様に合わせた品質を届けられるよう、そして現地代理人とスムーズにやりとりができるようにするのも、外国特許事務の大切な役割です。各現地代理人のクセに合わせて指示書の記載を工夫したり、対応が遅れがちなところには適宜リマインドをしたり、時には注意喚起をすることも…。
このような細かい対応は、英語でのコミュニケーション能力という一言には収まらない、「名もなき業務」といえるでしょう。

外国特許事務の業務はまだまだありますが、以上、一部をご紹介いたしました。

きさ特許商標事務所の外国特許事務部は、日本のお客様と海外の代理人の間に立って橋渡しをするにあたり、英語力だけではなく、正確さ・柔軟性を備え、縁の下の力持ちとしてお客様のお役に立てるよう、心掛けております。

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